春陽堂 山頭火文庫 句集(4) より


ここに掲載したのは落とすことの出来ない句や
特にユーモラスな句です。
この句集はしみじみ、ほのぼのとした句ばかりで素晴らしかった。
私は小説などはまず読み返さない。
句集も読み返したのは山頭火のこのシリーズだけだ。
この句集(4)はいつもすぐ手の届く所に置いておきたい。


「草木塔」以降


昭和14年

柳ちるもとの乞食になつて歩く

木の葉ふるふる野糞する

体ぽりぽり掻いて旅人

夜のからだをぽりぽり掻いている

おちついて死ねさうな草枯るる
(死ぬることは生きることよりもむつかしいと、老来しみじみ感じないではいられない)

おちついて死ねさうな草萌ゆる

今日いちにちのおだやかに落ちる日

食べるものがなければないで涼しい水